*お子さんがいらっしゃる親御さんには必ず目にして欲しい内容です。
5月25日、大阪府、京都府、兵庫県に続き首都圏や北海道でも新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」の解除が正式に発表されました。
日本国内では新規感染者の数が少しずつ減少傾向にあり、長かった新型コロナウイルスとの戦いにも収束の糸口が現れ始めたように思えます。
しかし現在、アメリカやイギリスなどの欧米諸国では新型コロナウイルスとの関連性が高いと疑われる子供の炎症性疾患が急増しています。
この炎症性疾患で死亡した子供は、5月21日の段階で5人と言われています。
この記事では子供を襲う炎症性疾患の症状や、新型コロナウイルスとの関連性についてまとめてみました。
Contents
コロナウイルスの影響?【急増する子供の炎症性疾患】症状や原因は?
コロナウイルスにより急増する?【子供の炎症性疾患】名称は?症例数は?
欧米を中心に世界各地で広がりつつある、コロナウイルスによる子供の炎症性疾患。
世界保健機関(WHO)はこの症状を「小児炎症性多臓器系症候群(Pediatric Inflammatory Multisystem Sydrome)」、略して「PIMS」と呼んでいます。
この炎症症状を発症した子供の数は日々増えていますが、5月14日の時点で、ニューヨークやイギリスではすでに100人を超える子供に炎症性疾患「PIMS」の症状がみとめられており、数人の死者も出ていました。
コロナウイルスにより急増する?【子供の炎症性疾患】どんな症状?
新型コロナウイルスの影響による子供の炎症性疾患「PIMS」の症状には以下のようなものがあります。
・続く発熱
・目の充血
・舌の腫れ
・重度の血管炎症
・リンパ節の腫れ
・発疹
・腹痛
・指やつま先の腫れ
このような症状は一度に起きるわけではなく、数日かけて少しずつ表面化してくるため、医師の診断が困難な場合が多いそうです。
また、もっとも懸念されているのが血管の炎症による心臓障害や毒性ショック症候群のような症状だと言われており、このような症状が見られた患者の全員が集中治療室(ICU)を必要とするほど重症化しています。
これまで、新型コロナウイルスが重症化するケースは高齢者に多いと言われてきました。
しかし現在、欧米では上記に該当するような多臓器の炎症で集中治療室に入る子供が年齢問わず増えてきているそうです。
この炎症性疾患は、主に1歳から8歳の子供によく見られると報告されていますが、2か月程の間に120件を超える炎症性疾患患者を確認したフランスでは14歳の子供にも症状がみとめられています。
コロナウイルスにより急増する?【子供の炎症性疾患】原因は?
ひとえに「新型コロナウイルスの影響」と言っても、具体的にどのようなことが子供の炎症性疾患の原因になっているのでしょうか?
<引用>
専門家らは、新型コロナウイルスは免疫系に激しい反応を引き起こし、免疫系がウイルスに感染した子どもの体内組織および臓器を守るのではなく、むしろ敵対するようになると考えている。 米ニューヨークにあるコーエン小児医療センター(Cohen Children’s Medical Center)のサニル・スード(Sunil Sood)小児科医師はAFPの取材に「子どもらは以前にウイルスにかかったが、体がそれと闘って追い出した」「だが今起きているのは、遅れて現れた過剰な免疫反応だ」と説明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c9324648813d49fe701eedbd36efa7ad85b4daa より引用
本来、人間の体を守るはずの免疫が、新型コロナウイルスに過剰反応してしまったために炎症反応を起こしてしまうことが原因と言われています。
しかし、新型コロナウイルスの検査で陽性を示さなかった子供が炎症性疾患にかかってしまうケースも確認されているため、現状ではあくまで「新型コロナウイルスとの関連性が高い」という認識にすぎないようです。
コロナウイルスにより急増する?【子供の炎症性疾患】日本での発症数は?
小児COVID-19患者の診療の有無は、なしが23件と67.6%を占めた。ありと回答した11件が診療した患者数は合計27人だったが、全てが軽症・無症状で、川崎病を疑う症例はなかった。
川崎病例の中でCOVID-19を疑う症状を示す患者が存在したかについては、34件中33件がなしと回答した。1件だけ、急性期に肺野に浸潤影を認めPCR検査を実施したが結果は陰性とする回答が見られた。
(一部省略)
本調査の結果に基づくと、欧米で報告されているようなCOVID-19と関連する川崎病に類似した症状を有する症例は日本では認められていないようだ。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202005/565460.html より引用
現時点で、日本では新型コロナウイルスとの関連性がみとめられる、子供の炎症性疾患の発症者はいないようです。
しかし、欧米各国に比べると日本の新型コロナウイルス感染確認者の数は少なく、その中でも子供の感染者数はかなり少数です。
そのため日本全国の学校再開にともない、万が一第二波が来てしまった場合、日本でも炎症性疾患を発症する子供が出てくる可能性も十分に考えられます。
コロナウイルス【子供の炎症性疾患】「川崎病」との類似性は?
コロナウイルス【子供の炎症性疾患】「川崎病」とは?
現在コロナウイルスにより急増している子供の炎症性疾患「PIMS」は、その症状に「川崎病」との類似点が多く見られると言われています。
「川崎病」は、1967年に川崎富作博士が発表したことからこの名前がつけられました。
体の中にウイルスが入った際に、外敵から体を守ろうとする免疫が急増することで血管の壁に傷みが生じ、炎症化してしまう症状のことを指し、子供がかかりやすいことから子供の病気と認識されている病気です。
女の子より男の子の発症確率の方が1.3倍も高いと言われていますが、その原因はいまだに解明されていません。
「川崎病」は発症時に発熱をともないますが、適切な治療をほどこせばほとんどの患者は解熱し元通りの日常生活を送れるまで回復します。
しかし、運が悪ければ心臓に後遺症が残る可能性もある恐ろしい病気です。
新型コロナウイルスとの関連性が高いと言われる炎症性疾患「PIMS」は、この「川崎病」との類似点が多く見られると言われています。
【子供の炎症性疾患】新型コロナ最年少の犠牲者にも「川崎病」の症状
4月25日、イギリスで生後8か月の乳幼児が新型コロナウイルスにより亡くなったと報じられました。
新型コロナウイルスによる最年少の犠牲者と言われるこの乳幼児には、高熱やリンパ節の腫れといった「川崎病」の症状が見られたそうです。
【子供の炎症性疾患】「PIMS」と「川崎病」の相違点
コロナウイルスに関連性があるかもしれない炎症性疾患「PIMS」と「川崎病」には類似点が多い一方、相違点もみとめられています。
まず、「川崎病」は日本人や日系アメリカ人、韓国人といったアジア人に発症しやすいと言われており、日本では年間およそ15,000人の子供が「川崎病」を発症しているとも言われています。
しかし炎症性疾患「PIMS」は、現在欧米を中心に流行しています。
また、「川崎病」は5歳未満の子供が発症するケースの高い病気ですが、コロナウイルスに関連性があるかもしれないと言われている炎症性疾患「PIMS」は、8歳から青年期(ティーンエイジャー)といった年長の子供に多く見られる傾向があります。
急増する子供の炎症性疾患と新型コロナウイルスとの関連性 まとめ
「子供は新型コロナウイルスが重症化しにくい」という事実は、子を持つ親にとってはある意味、不幸中の幸いとも呼べる救いでもありました。
しかし今、新たな脅威が忍び寄りつつあります。
緊急事態宣言の解除によって気を緩めることなく、今、私たちにできることをしっかりと行うことが、未来ある子供を守る最大の盾になるのだと思います。
コロナウイルスに負けずに、できることをしっかりと行い、力を合わせてこの危機を乗り切りましょう!